ブレイクダンス初心者・これからブレイクダンスを始める人に知って欲しい基礎知識

Breaking 知恵袋

この記事では、ブレイクダンスを始めて間もない人、これからブレイクダンスを始めようと考えている人に、ぜひ知っておいて欲しいブレイクダンスにまつわる基礎知識を紹介させていただきます。

もちろん知らなくてもブレイクダンス自体をすることはできるのですが、(実際に本記事に記載しているようなことを知らずにブレイクダンスをしている人も大勢いるかと思います)「知る」ことによって、よりブレイクダンスへの理解が深まり、踊りとして楽しむだけでなく、カルチャーとしてもブレイクダンスに接することができるようになり、きっとあなたのブレイクダンスライフがより充実したものになるハズです!!

ブレイクダンスとは

まずは、そもそも「ブレイクダンス」とは何なのか?です。

始めたばかりの人やこれから始めようと考えている人の中には、
「なんとなくは分かるけど、実は詳しくは分かっていない」
「聞いたことはあるけど、よくは知らない」
「とりあえず頭で回るダンスですよね?」
といったように、具体的にどんなダンスなのか、よくわかっていない人も多いかと思います。

ブレイクダンスとは、音楽に合わせて手や足、背中、肩、頭など、体のあらゆる部分を使って、跳んだり、跳ねたり、回ったり、止まったり、滑ったりといった動きを組み合わせて踊るストリートダンスの1つです。

他のストリートダンスのジャンル(HIP HOP(ヒップホップ)やLOCK(ロック)、POP(ポップ)、JAZZ(ジャズ)など)との大きな違い、特徴は、立った状態のまま踊る立ち踊りだけではなく、しゃがんだ状態や寝転んだ状態など地面(フロア)を使った踊りや、逆立ちの状態、地面から一瞬、体が離れるようなアクロバティックな動きが取り入れられていることです。
(HOUSE(ハウス)といわれるジャンルのダンスには、一部フロアを使ったり、アクロバティックな動きがあったり、REGGAE(レゲエ)やCAPOEIRA(カポエラ)にもブレイクダンスに近い体勢になる動きがあったりはしますが)

また、基本的なステップ(インディアンステップやツーステップなど)や技(チェアー、ウインドミルなど)などはもちろんありますが、型に捉われない側面があり、言うなれば「何でもあり」のダンスで、近年新たに生まれ一般化した動きや技もあったり、今もなお進化し続けているダンスでもあると言えます。

ブレイクダンス・BBOYの名称について

次は、ブレイクダンス・BBOYの名称についてお伝えします。

もともとは、Hip-Hopカルチャーの4大要素である

  • 「MC(エムシー)」
  • 「DJ(ディージェー)」
  • 「BBOY(ビーボーイ)」
  • 「GRAFFITI(グラフィティ)」

のうち、Hip-Hopのダンスを踊っている人たちのことを指すBBOY(女性の場合はBGIRL)の踊りのことを「BBOYING(ビーボーイング)」もしくは「BREAKING(ブレイキング)」と呼んでいました。
それを、「BREAKING(ブレイキング)」に目を付けたメディアが一般の人に分かりやすいように「ブレイクダンス」という呼び方をして広めたため、今では「ブレイクダンス」という名称も「ブレイキン(ブレイキングを略した呼ばれ方)」と併せて定着してきています。
(一般の人には、「ブレイキン」と言っても何のことかは通じず、「ブレイクダンス」と言えば分かってもらえることが多いです。)


では、BBOYの「B」とは何なのでしょうか?
BBOYの頭文字の「B」の語源については、諸説ありますが、概ね以下の通りです。
(どれが正解で、どれが不正解とかはないかと思います)

  • ブレイキンの発祥地であるアメリカ・ニューヨークのブロンクス(BRONX)地区の「B」
  • 発祥当時、曲と曲の間のブレイクビーツ(BREAK BEATS)で踊っていたことに由来する「B」
  • 黒人(Black)由来のHip-Hop文化が基になっていることからの「B」

ちなみに、当サイトの名称にも使われている「BREAKER(ブレイカー)」は、BBOYとBGIRLを合わせたブレイクダンス、ブレイキンを踊る人たち全般のことを表します。

ブレイクダンスの構成要素

次にブレイクダンスの構成要素について見ていきましょう。

ブレイクダンスを構成する要素は、大きく分けて、以下の4つに分類されます。

  • TOPROCK(トップロック)
    ブレイクダンスの中で立って踊る立ち踊り全般のことを指します。(狭義では、インディアンステップという立ち踊りのことを指してトップロックと呼ばれることもあります。)基本的には、ムーブの始めにはこのトップロックから踊って、フロアのムーブにつなげていく、ということが多いです。
  • FOOTWORK(フットワーク)
    しゃがんだ状態で地面に手を着き、足を動かして様々なステップを踏む動きのことを指します。「踏む」以外にも、地面に手を着いた状態で足を「流す」「滑らす」「跳ねる」「止める」などの動きは概ねフットワークと大別されます。基本のステップはあるものの、様々なステップのバリエーションを組み合わせて、独自のムーブを作ることができるため、人によってオリジナリティのあるフットワークがみられます。
  • POWERMOVE(パワームーブ)
    頭や肩、背中、手など体の様々な部分を使って、回転する動きのことを指します。ブレイクダンスをしていない一般の人のイメージというと、このパワームーブを想像される人が多いのではないかと思います。色々な種類のパワームーブがありますが、基本的なパワームーブでも、始めたばかりの人が習得するまでには、最低でも数か月は練習を積まないとできるようにはならない場合が多いです。(個人差や練習量にもよりますので、一概には言えませんが)
  • FREEZE(フリーズ)
    フットワークやパワームーブなどから体を固めて止める動きのことを指します。動いているところから急に止めなければいけないため、見た目以上に力が必要だったりします。また、フリーズにも様々なバリエーションがあり、技によっては、バランスや柔軟性が求められるフリーズもあります。ベーシックなムーブの流れとしては、トップロックの立ち踊りから始まり、フットワークやパワームーブをして、最後にこのフリーズで終わる、という流れになります。


    基本的には、以上の4つの要素を組み合わせて踊ることで、ブレイクダンスというものは成り立っています。

    ただし、必ずこの4つの要素を全て入れなければブレイクダンスが踊れない、ブレイクダンスにはならない、というわけではありません。
    BBOYによっては、フットワークを中心に踊り、パワームーブはしない人がいたり(スタイラーと呼ばれます)、逆にフットワークはしないで、パワームーブばかりをする人もいます。(パワームーバーと呼ばれます)
    また、ムーブを始める時もトップロックから入らない人もいたり、ムーブを終える時も必ずフリーズで終わらなければいけないわけでもありません。

    どのような動きの流れ、組み合わせで踊るのかは、踊っているBBOY個人に委ねられるため、人と全く同じダンスになることはなく、それぞれのBBOYの個性がダンスにそのまま表れることになります。
    そういった点もブレイクダンスの面白いところではないかと思います。
    (この点は全てのダンスに共通することでもあると思いますが)

ブレイクダンスの歴史

続いて、どういった背景でブレイクダンスというダンスが生まれたのかについて、ぜひ知っておいてください。

ブレイクダンスは、1970年代にアメリカ・ニューヨークのブロンクス地区から生まれました
当時のブロンクス地区は治安がとても悪く、ギャングが地域を取り仕切り、ギャング同士で縄張り争いが繰り広げられていました。そうした抗争の中で、ギャングはもとより、その家族や友人、時には無関係の人までもが巻き込まれて、多くの命が奪われていました。

しかし、そのような殺し合いに嫌気がさし、

なんとか殺し合いをせずに勝負をする方法がないかということで、DJだったギャングのボスが「ダンスで勝負すること」を提案したものが起源となったと言われています。
(ブレイクダンスが他のストリートダンスと違って、バトル(ダンサー同士が踊り合って、競い合い、勝敗をつけること)が中心のダンスとなっているのは、こうした背景によるものです。)


その後、ブレイクダンスはパフォーマンスが派手なこともあって、当時のメディアからの関心を受けて、様々なイベントに進出し、雑誌やミュージックビデオ、映画、TVなどにも取り上げられるようになり、世界的に広がっていきました。

最初は、当時の時代背景やカルチャーから生まれたものですが、今では世界中で老若男女を問わずに踊られており、2024年のパリオリンピックからは「BREAKING」として正式種目に採用が決まっています。今後は、ダンス、カルチャーとしてだけでなく、スポーツとしての側面からも発展が期待されそうです。
(種目名を「BREAK DANCE」とせずに「BREAKING」としたことにはカルチャーに対するリスペクトがあったのではないかと感じます。)

ブレイクダンスで使われる音楽について

ブレイクダンスで使われる音楽には、特に制限はありません。

さすがにクラシックなどでは踊りにくいかと思いますが、ファンク、ソウル、ラテン、ディスコミュージック、R&B、ヒップホップ、ロック、エレクトロなど、幅広い音楽が用いられます。
最近では、アニメの曲(いわゆるアニソン)なんかでも踊られています。
私の所感では、ドラムが使われていれば(特にスネア)、ある程度どのような曲でも踊れる、踊りやすいのではないかと思います。

もともとは、ブレイクビーツと言われる、歌のない曲の間奏をDJが繰り返しループ再生をしたり、スクラッチしたりというターンテーブルの奏法によって作られた音楽に合わせて踊られていた歴史があります。

そのため、ブレイクダンスでよく使われる音楽というのは、あらゆるジャンルの幅広い音楽が用いられはしますが、その多くは原曲そのままで使われることは少なく、DJの編曲によってループ再生されていたり、リミックスされている場合が多いです。

オリンピック競技としてのブレイクダンス

「ブレイクダンスがオリンピックの正式種目として採用されることが決定!!」
このセンセーショナルなニュースは既に耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?

そうです。前章でも少し触れましたが、これまでの伝統的なスポーツではないブレイクダンスが世界で最も歴史と権威のあるスポーツの祭典とも言えるオリンピックで「BREAKING」として、2024年のパリオリンピックから正式種目になることが決定したのです!!
(2020年の12月に開催されたIOC〔国際オリンピック委員会〕の理事会にて決定されました。)

ブレイクダンスが正式種目として採用された理由についてですが、実は近年の若者の伝統的なスポーツへの「スポーツ離れ」が関係しています。
若者にスポーツに興味を持ってもらうために、「若者へのアピールにつながるもの」として採用されています。
同じくパリオリンピックから新たに採用される種目として、ブレイクダンス以外にサーフィン、スケートボード、スポーツクライミングも選ばれていますので、「若者へのアピールにつながるもの」という選定理由はどうやら本当にそのようです。
また、同時に「男女平等の実現に役立つもの」についても優先するとされており、そういった観点から見ても今回採用された種目は、男女問わずにスポーツとして取り組めるものになっているかと思います。

オリンピック競技としてのブレイクダンスのルールについては、具体的にはまだ明確にはなっていませんが、カルチャーとしてのブレイクダンスのイベントとスポーツとしてのブレイクダンスのイベントでは、おそらくルールは違ったものになることは間違いないでしょう。
(スポーツの祭典で行われる競技だけに、スポーツマンシップに則らなければなりませんので。)

ブレイクダンスがオリンピックで正式種目として採用が決定した際も、賛否両論の様々な意見が飛び交いましたが、よく考えてみれば、カルチャーとしてのブレイクダンスのイベントであっても、大会によって様々なルール・採点システムがあったりしますので、個人的には、そうした1つとして、また、可能性が広がったものとしてポジティブに捉えていけば良いのではないかと思います。

最後に・・・

いかがでしたでしょうか?
この記事では、ブレイクダンスを始めて間もない人、これからブレイクダンスを始めようと考えている人に、ぜひ知っておいて欲しいブレイクダンスにまつわる基礎知識を紹介させていただきました。
ダンスはもちろん体を使ってするものですが、知識を知っておくことも非常に重要です。
今後も様々な情報を発信していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
あなたのブレイクダンスライフがより充実したものになることを願います!!

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