この世界には、病気や事故、遺伝的な理由などから、身体的にハンディキャップを持った人達が一定数おられます。
一般的に、そうした人達は五体満足の健常者と比べると、身体的な制約があることから、運動能力は低くなるのでは、という風に思われがちかもしれません。
しかし、例え障がいを持っていたとしても、トレーニングを積むことで健常者と同等の、あるいはそれ以上の運動能力を獲得することが実際には可能です!!
障がいを持った人のスポーツの祭典としてパラリンピックがあることは、一般的にも認知されているかと思います。出場している選手は自らの障がいを受け入れた上で、並々ならない努力を重ね、アスリートとして世界一を目指しています!!
一般の方にはあまり知られていないかもしれませんが、ブレイクダンスの世界でも同様に、障がいを抱えながらも世界レベルで活躍するブレイクダンサーが何人も存在しています!!
(しかもブレイクダンスの世界では、健常者と障がいを持った人を分けることなく、一緒にバトルをしています)
障がいを持っていてもブレイクダンスはできるのか??
その問いに対する答えは、YESです!!
この記事では、そんな障がいを抱えながらも世界で活躍する素晴らしいブレイクダンサーを紹介します!!
Junior(フランス)
Juniorは、おそらく世界で最も有名な最も有名なストロングスタイルのBboyであり、最も有名な障がいを抱えたBboyかと思います!!
世界最高峰のブレイキンチームであるRed Bull BC One All Stars、Flying Stepsにも所属し、世界中で活躍するブレイキンドリームを掴んだレジェンドBboyです!!
彼は幼少期にポリオになったことがきっかけで義足なっており、おそらくそのことも関係して日常生活から上半身を使うことが多くなったのではないかと思われ、唯一無二の重力を無視したようなストロングスタイルにつながっているのではないでしょうか!!
Samuka(ブラジル)
Samukaは、骨肉腫による変形性股関節下切断患者であり、片足の無いBboyです。普通の感覚では片足が無ければ運動をすることは困難で、ましてや激しい動きを伴うブレイクダンスなんてもってのほか、と思うところですが、彼はそんな固定観念を吹き飛ばして、健常者以上の素晴らしいパフォーマンスを見せてくれています!!
移動の際は、松葉杖を使っていますが、その松葉杖ですらブレイキンの中に取り入れ、ムーブの幅を広げています!!
その実力の高さから、2024年のブレイキンソロ世界一を決める最高峰のバトルであるRed Bull BC One World Finalでは、TOP4という成績を収めています!!
Perninha(ブラジル)
Perninhaは、原因は不明ながら生まれつきの左足の奇形を持ったBboyです。右足は健常者と同じ足をしていますが、左足は右足の半分程度の長さしかなく、左右でバランスを取ることが極めて難しい体の状態をしています。両足で地面に立とうとすると、右足は常に曲げた状態となります。
常識的に考えれば、このバランスの取りづらい体の状態で運動をするということは困難であると思われますが、Perninhaは自身の身体を見事に使いこなし、場合によってはこの特徴をうまく活かしてムーブを組み立てたりと、ハンディを感じさせないパフォーマンスを見せてくれます!!
Redo(オランダ)
RedoもPerninhaと同様に生まれながらの奇形を持ったBboyですが、その症状が、両腕、右股関節、右脚にまで影響を与えています。外見上、最も違いが分かるのは、右手となっており、左手と比べるとその長さは半分程度しかなく、手首の形が曲がってしまっているように見えます。
Redoは右手の先に補助的な装具を着用することで、ブレイクダンスを実践していますが、左右の手の長さが違うことでフットワークの際、左右平等には体重をかけることができないなど、健常者と比較すると、非常に難しい条件の下でパフォーマンスをしていることになります。
そうした困難をものともせずに、2024年のRed Bull BC One オランダ大会では決勝まで勝ち上がっています!!
ILL-ABILITIES Crew
ILL-ABILITIES Crewは、上記で紹介したBboyも所属している、何かしらの障がいを抱えている世界中のブレイクダンサーが集まって結成されたCrewです!!
Crewとしてだけでなく、個々人としても世界中で活躍しているBboyが多く、世界中の障がいを抱えた人達にはもちろん健常者の人達にも夢と希望を与えるとともに、常識を打ち壊し、可能性を示し続けてくれています!!
2024年のパリオリンピックでもILL-ABILITIES Crewによるパフォーマンスが行われており、会場は満場の拍手に包まれました!!
所属Bboyと抱えている障がいは以下。
・Junior(フランス):幼少期にポリオになったことがきっかけで義足となった。
・Lazylegs(カナダ):関節拘縮と呼ばれる神経筋障害を持って生まれる。
・Samuka(ブラジル):骨肉腫による変形性股関節下切断患者。
・Checho(チリ):サリドマイドによる生まれつきの脚の奇形。
・Perninha(ブラジル):生まれつきの左足の奇形、原因不明。
・Krops(韓国):2013年にダンス練習中に負傷し、半身不随となった。
・Redo(オランダ):両腕、右股関節、右脚に影響を与える出生時からの複数の奇形。
・Kujo(アメリカ):右耳は100%センサー神経性難聴、左耳は伝音難聴。
・Tommy Guns(アメリカ):骨肉腫による変形した膝上切断患者。
現在、日本人の所属はありませんが、今後このCrewに入る日本人ブレイクダンサーがいても全然不思議はないでしょう!!
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